こんにちは。
先日映画化もしている湊かなえさんの小説「告白」を読んだのですが、タイトル通り終始暗いムードになっており相当メンタルがやられたのでご紹介をさせていただきます。
まずいきなりですが評価としては、かなり賛否両論が分かれそうな感じ。私は好きですがもう一度読みたいかと聞かれたらかなり微妙なところです。
Youtubeのコメント欄にもあるように、今回原作を読んだのですがまさに下記のコメントが本作品の根幹に触れていると思います。
読み終えたあとはあまりに気持ち悪さに放心状態。たかが小説なのにかなり体力が削られていることに気がつきます。
今回の記事では下記3点についてピックアップをしたのでご紹介をさせていただきます。
- ホラー映画より怖い
- 少年法に対する理解
- もし自分がこの立場に置かれたらどうするか
それでは上から順に解説をしていきます。
ホラー映画より怖い
まずあらすじはこちらになります。
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。
そうです、あらすじをざっと読むだけで鳥肌が立つかのような感覚に襲われます。
告白という恋愛を連想させるようなタイトルにはなっていますが、「復讐」というテーマでもよかったのではないかと思うほど愛する人を殺されたことによる憎悪に満ちた作品となっています。
今までにない展開の小説
ミステリー系小説といえば「○○が殺された!→犯人探し」というのは一般的ではありますが、本作に関しては冒頭から殺されたのは誰か、犯人も最後まで秘密にするのではなく読者に教えているのは驚きました。まずいきなり結論から始まってしまうのです。
さらにいえば、殺したのも殺されたのも子供というのが何より面白さであり本作の凄みでもありますね。
少年法に対する理解
読んでいてすごく歯痒い思いをしたのが「少年法」に対する措置です。
たとえ人を殺めたとしても少年はまだ少年法に守られる年齢であるため警察に連れていこうにも、少年の先生であるという立場であるため守らなければいけないという悠子先生の立場からすればどれが正義なのか分からない状態に置かれていたと思います。
未成年の人間が犯罪を犯そうとしても、成人と同じ刑事処分が下るのではなく、保護更生の処分を下すことが規定されています。
すなわち、未成年の人間は少年法により、人を殺しても死刑になることもなければ終身刑になることもないのです。
悠子先生自体は、かなりクールに淡々とお話はしますが「殺してやりたい気持ちでいっぱい」というセリフもありました。
「神戸連続児童殺傷事件」において、残忍な犯罪を犯した犯人は、当時14歳だったために、名前と顔が公表されることもなく、今は普通に社会でのうのうと生きているわけです。
自分が親の立場からすれば理不尽で仕方がなかったと思います。
もし自分がこの立場に置かれたらどうするか
- 愛美を殺した少年の1人でその後に起こる殺人事件の主犯で頭が切れる少年A
- 少年Aに利用され愛美を殺してしまった事で引きこもりになり悲劇の連鎖を生む少年B
復讐として少年Aと少年BにHIVの血が混ざった牛乳を飲ませることになります。
この瞬間から、森口の娘を殺した生徒二人は命の重さを知ることになり、死ぬほど苦悩することになるのです。
自分ならそういった形での復讐は行わないかと思いますが、愛する娘や息子を奪われたのなら恐らく悠子先生と同じく「殺してやりたい気持ちでいっぱい」になってしまうのは仕方なく、復讐をしてしまうのではないかと思います。
親から愛されなかった人へ
本作の少年は母親にちゃんと愛されなかったという悲しい背景があります。
ただ、だからと言って殺人を犯していいということにはならず、その罪は断罪されるべきです。
なので、ちゃんと森口が復讐を完了した時、見てる方としてはすっきりした気持ちになりました。
- 片親だから性格が捻くれた
- 親から愛されなかった
- 貧乏だった
たとえばですが、上記のような家庭環境で問題があった経験のある人は犯罪に手をだすケースが多いともいわれています。
もちろん全ての人ではないですが、家庭環境の複雑さにもフォーカスをしているシーンも多々あり、私の環境は何事もなく平和で両親に改めて感謝を述べたくなった作品でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ハリウッド映画のように壮大なスケールでお送りしてるわけでもなければ、派手なアクションシーンがあるわけでもない本作ですが、それでもストーリーに没頭し時間を忘れてしまうような魔力が本作にはありました。
映画→小説でもよいですし小説→映画でも良いのでセットで見ることをおすすめいたします。