こんにちは。Nagiです。
当サイト(Nagi Rhythm)は現在毎日1000日以上更新をしており、過去に様々な映画やドラマのレビュー記事をご紹介させていただきました。
昨日TOHOシネマズにて今話題の松たか子さん主演の「ラストレター」を観てきたのでメモのために感想/レビューをさせて頂きます!
タイトル通り「文通」をテーマにした作品です。久しぶりに映画を見て泣きました。しかも2回も。
感想を簡単にまとめると下記5点になります。
- 確実に岩井監督のファンになる
- 透明感あふれる世界観
- 割と重めの話なのに後味が悪くない
- だれかに手紙を書きたくなる
- 人生について考えさせられる
予告動画でも書かれていますが、「君の名は」と「天気の子」などで有名な新海誠監督ですら大絶賛の映画です。
それではあらすじから順に感想と解説を書いていきます。
あらすじ
裕里の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎と再会することに。 勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。 ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく―――
感想/レビュー
いきなりですが、この物語の根幹は「明るい話では全くない」です。特に後半は切なくて非常に辛いです。
しかしこの映画のすごいところが不思議なことに劇中一切重苦しくならずに後味も悪くならないところが本当にすごい。
- ひぐらしの声
- 時計の音
- ピアノ
- 前半〜中盤にかけて所々笑えるシーンもあり
- きゅんとするシーンもあり
上記やその他何かしらの音が常にあってテンポ良く進んでいく感じがおそらく要因でしょう。
好みの雰囲気
そして終始静謐で落ち着いた雰囲気があり、ノスタルジーを感じさせるような細やかな演出が随所に効いているのもすごく好みでした。
過去と現在の魅せ方が上手い!
この細かな表現力が大変素晴らしく、スッとその世界観に入ることができました。
- 姉妹の過去と現在を同じ人が演じている
- 神木隆之介と福山雅治のリンクが最強
今まで過去と現在を別の人が演じていない映画を観たのは初めてかもしれません。
裕里の明るいキャラクターも非常にいい味をだしてる
松たか子演じる裕里の明るいキャラクターに負うものも非常に大きいかと思います。
これがもし他の女優さんで、重苦しい感じだったらもっと違う映画の方向性になっていたといっても過言ではありません。
独特の表現と透明感
- 「若かりし頃の淡い思い出」
- 「心に残る強烈な経験」
大人が誰しも一つは抱える上記2つがよく表現されている映画だと思います。
やはり自分もそうですが思春期真っ盛りの頃に経験した出来事というのは、本当に些細な事でも綺麗に鮮明に「記憶」として残っているものだなと感じます。
なんとも人間臭みのある映画
ただし、綺麗なだけでなくどうしようもなく情けない「現実」と対比させてより「思い出」を美しく表現しているのがなんとも人間臭く、かつねちっこい皮肉な毒があって個人的にはそれがすごくいいエッセンスだと感じました。
そして美しい映像
青みがかった透明感のある色味の田舎の風景と、ワンピースを夏の風に靡かせる少女達の姿が幻想的な程に物凄く綺麗でついつい見惚れてしまいます。
この時代だからこそLINEより手紙
なんといっても、この映画のテーマは「手紙」です。
今の時代だからこその文通の素晴らしさを感じました。
手紙だからこそすれ違いがあったり、未来にずっと残すこともできる。その人がたとえいなくなっても、永遠に生き続ける。
一言でいえば誰かに手紙を書きたくなる映画です。
便利すぎる時代
手紙が届くまで時間がかかるのもあり、手紙が届いた時のワクワク感とかもすごくよかったですよね。
やっぱりLINEではなく手書きの手紙は最高です。
- 文字の雰囲気だけで読み取れる性格
- 紙の質感
- 書いたけどやっぱり恥ずかしくて消した形跡
これら全てが揃って「手紙」だと思っています。
そしてメールやLINEが日常の時代に改めて往復書簡がここまで人の気持ちを揺さぶる事なのかと再認識させられました。
LINEでメッセージをもらうより手紙をもらったほうが嬉しい
この壮大な尊さが痛いほどでも瑞々しく染み渡る…全てが美しいそんな映画でした。
圧倒的な演技力を誇る俳優陣
福山雅治も松たか子も広瀬すずも神木隆之介も最高にマッチしていた役だと思います。
俳優陣もただ豪華というわけではなく、圧倒的な演技で、この世界にずっと浸っていたいと思わされます。
この演技力による「どうしようもなく切ないストーリー」も分かりやすくてよかったです。
神木くんも全然まだまだ高校生役いけますね。恋している感じを出す神木くんの演技力が半端なかったです。
広瀬すずが一気に好きになった話
広瀬すずが大人っぽさを出したり子供っぽさを出したりハイブリッドな役ができる素晴らしい演技力をこの映画で知ってから一気に好きになりました。
マスクをとるシーンは最高!
最初〜中盤にかけて広瀬すずが風邪を常に引いているため、常時マスクをしていましたがマスクを取り顔の輪郭が初めて映るシーンは息をのむほど美しかったです。
儚くて切ない苦しい表情をよくここまでできるなと思わず関心しました。
広瀬すずだからこの役演じれたんだろうなと思うほどでした。
泣けたシーン
ラストの何度も何度も手紙を読み返して、手紙を宝物にしていた未咲を想うとなんだか胸が苦しくなって娘のあゆみが伝えたシーンがやばすぎました。穏やかな空気感、そして時として現れる緊張感がどうしても我慢できず涙腺崩壊しました。
感動のラストシーン※ネタバレあり
すみません、ここはネタバレになっているため見たくない人はリターンしてください><
タイトルにもなってる最後の手紙は未咲が娘の鮎美に遺した手紙を意味し、その内容は高校の卒業式に未咲が読み上げた答辞である事がラストで判明します。この答辞の扱い方も見事でした。
裕里の何とも言えない表情
答辞そのものは序盤の同窓会において録音されていたテープとして流されていて、未咲の代理に出席する事になってしまった妹の裕里は何とも言えない表情で聴いています。
これはノスタルジーに浸ってると思わせておいて、実は未来の無限の可能性を謳う内容の答辞を読み上げた未咲が未来に絶望して命を断つ皮肉になっている事を憂いた表情だったんですよね。
手紙を通した甘酸っぱすぎる恋
更に鮎美に遺された最後の手紙がこの答辞であるのは、鮎美に対するエールであると共に、この答辞の共作者である鏡史郎への想いの表れにもなっていました。
この物語の進行によって物事の意味合いが変わって行く構成も、見事でありました。
印象深かったセリフ
- 「誰かがその人のことを思い続けたら、死んだ人も生きていることになるんじゃないでしょうか」
- 「お姉ちゃんのふりをして手紙を書いていたら、お姉ちゃんの人生がまだ続いているような気が、ちょっとしました」
これがある意味この映画のテーマであり、亡くなった人がいても「それぞれがいろんな形で想い続けている」ことで過去も未来も繋げることができると思えました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭にも感想をまとめていましたが再度掲示します。
- 確実に岩井監督のファンになる
- 透明感あふれる世界観
- 割と重めの話なのに後味が悪くない
- だれかに手紙を書きたくなる
- 人生について考えさせられる
未来や過去は変えられないが、選択肢は無数にあります。その中から正しい判断ができるかが大切ですよね。
「人生誰とどのタイミング出会うか」でいくらでも違った道に進むことになるということが痛いほど伝わってきました。
岩井監督のファンになる作品
「リップヴァンウィンクルの花嫁」も美しい映画でしたが、この映画の透明感も全く負けていないと思いました。
岩井俊二監督の「Love letter」が見たくなると色んな方がFilmarksにてレビューをされていたので見ようと思います!