こんにちは。
いきなりですが2年ほど前に不眠症を患い、過去に様々な睡眠に関するデータを調べて実際に行動を起こした記事を書かせていただきました。
実際に不眠症になった経験のある僕がこの本に助けを求めて読んでみました。その名も「スタンフォード大学 最高の睡眠」であり、最新のスタンフォードの研究結果を噛み砕いて紹介した一冊です。
まずこの本の著者をご紹介します。
西野精治(にしの せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科教授。同大学睡眠生体リズム研究所所長。医師。医学博士。
突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の研究に全力を注ぐ。2000年にはグループの中心としてヒトのナルコレプシーの主たる発生のメカニズムを突き止めた。
「睡眠の謎を解き明かして社会に還元する」を命題としており、多くのアスリートから指示されている「エアウィーヴ」の開発研究にも携わった。
本書はこんな人におすすめ
- 常に100%の状態で仕事に臨みたい人
- 痩せたい人(ダイエットに失敗した人)
- 睡眠時間を削って何かに取り組みたい人
- なかなか寝付けない人
- 仕事中眠くなる人
- 朝なかなか起きれない人
- 時差ぼけを治したい人
- うつ気味の人
色んな悩みがある方がいらっしゃると思いますので、自分の復習も兼ねてこの記事でまとめてみました。
スタンフォード式「最高の睡眠」のプロローグでは「根拠のない話は書かない」と約束されてあります。
書いてある内容は研究結果として発表されているものばかりです。
上記の悩みがある人は5分程度で分かりやすく読めるようにしていますので是非ご覧ください。
睡眠時間を削れないか悩んでいた時代
色んな人に影響されて、どうにかして睡眠時間を削れないかとよく考えていた時期がありました。
伝記を読むと、「ナポレオンやエジソンは一日3時間しか眠らなかった」と書いてあったり、最近だとYouTuberのラファエル氏が出版した本でも「1日4時間しか眠らない」と書かれていました。
睡眠時間を削りたい人は「無理」
成功した芸能人の話を読むと「明石家さんまはほとんど寝ていない」というような、ショートスリーパーの逸話がたくさん出てきて、短時間睡眠さえできれば自分も何か成功できるのではないかと思っていました。
いわゆる上記のショートスリーパーについては、「スタンフォード式 最高の睡眠」では「遺伝によるもの」と断言されています。
短時間睡眠を後天的に身に付けることは極めて難しいので、短時間睡眠の遺伝子を持たない人は、起きている時間を有効活用するしかないとのことですね。
快適な睡眠を得るための“通説”について
世の中には、快適な睡眠を得るための“通説”が数多く存在します。
- 90分の倍数で寝ると朝すっきり起きられる
- 寝酒は睡眠の質を下げる
上記の例などはその代表例ですね。
実際これらを信じて90分の倍数で睡眠をとっている人がいるかもしれません。
しかし本書ではこうした常識を覆すワードが複数並んでありました。
- 寝溜めはできない
- 睡眠時間は90分の倍数でなくてもいい
- 寝る前の少量の飲酒であればNGではない
これらだけでなく、上記の説は「睡眠研究のメッカ」と称されるスタンフォードの最新研究結果に基づいたものです。
「スタンフォード大学が出した最先端の理論」になりますので大ベストセラーとなったのも頷けますね。
平均睡眠時間が圧倒的に短い日本人
- アメリカの平均睡眠時間は7.5時間。
- フランスの平均睡眠時間は8.7時間。
- 日本の平均睡眠時間は6.5時間
圧倒的に日本人の睡眠が短いことがうかがえます。
その上、睡眠時間が6時間未満の人のが約40%もいるといわれています。
不眠の傾向は都会ほど強い
東京に限っては「5.9時間」と6時間を切っている地域のデータもあります。
自宅に戻っても日本人は深夜番組やNetflixなどのネット配信動画、スマホやタブレットで夜中までブルーライトを浴びまくる生活をしている人が大半です。
そんな状態で寝ようとしても興奮状態なのですぐに寝付けないのは当然ですよね。
1960年代には6割の人が夜10時までに寝ていた
2000年頃からは、その割合は2割台までに下がっているとのデータもあるとのことです。
「大人の睡眠時間減少に引きずられ、子どもの睡眠時間も減っています。満員電車はイライラとキレる大人であふれ、学校では情緒不安定や居眠りし続ける子が増えている。うつ病や不登校などの問題も、睡眠と無関係ではありません」(西野氏)
このような睡眠不足は、「土日によく眠る」という寝溜めだけでは挽回できないことが研究でわかっています。
特に、恒常的な寝不足を感じていて、週末の寝だめが必須な生活を送っている人は、「睡眠負債」となっている可能性が高いため、早めに睡眠の質を上げ「最高の睡眠」を取るのが望ましい、というのが本書に記されています。
睡眠負債とは
「わずかな睡眠不足が、借金のようにじわじわ積み重なること」を指す言葉で、それによって病気のリスクが高まるとされています。
最高の睡眠を得るには?
結論、睡眠量を確保するだけでは「最高の睡眠」は得られません。
最高の睡眠とは、「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える、「究極的に質が高まった睡眠」のことを本書では指します。
睡眠の質は眠り始めの「90分」で決まる
なぜ入眠90分が大切なのだろうか?という疑問が湧きますよね。
皆さんご存知の通り、睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」があります。
- ノンレム睡眠:深い眠りのことで、明け方に近づくにつれて浅く、短くなってきます。
- レム睡眠:浅い眠りのことで、明け方に近づくとレム睡眠が長くなって、身体が覚醒の準備を始めます。
最も深い眠りである最初の「90分」を大事にしよう
成長ホルモンが最も多く分泌されるのが最初の90分といわれています。
成長ホルモン全体の70~80%は、この第一周期のノンレム睡眠時、つまり最初の90分に分泌されます。この時間の睡眠の質が悪い場合は成長ホルモンは正常に分泌されないこともわかっています。
アンチエイジングにも効果的
この成長ホルモンはアンチエイジングにも効果的があるので、女性や美容に興味がある人は、特に眠り始めの90分の質を高めることに気を使う必要があると言われています。
「黄金の90分」の質を高める
「眠りたい」という欲求の多くが最初のノンレム睡眠で解放されることもわかっているため、「黄金の90分」の質を高めれば、すっきりとした朝が迎えられ、更に昼間の眠気も抑えることができると言われています。
つまり、寝る時間を確保できない現代人は特に、「最初に訪れる90分」の睡眠の質を下げてはいけないことと、いかに深くするかがポイントとなっています。
最初のノンレム睡眠が妨害されてしまうとどうなる?
お分かりの通り、あとの睡眠は器械で計測できないほど乱れてしまうことがわかっています。
「スタンフォード式最高の睡眠」とは、ひっくりめて言えば「黄金の90分」の質を最大限まで高める睡眠方法です。
仕事中に突然眠気が襲ってきたときの対処法
会議中の場合
とにかく口を動かす。
覚醒させるためには、口を動かすのが一番と言われています。ぜひ積極的に発言しましょう!
深夜に資料作りに励む場合
「90分間」だけ寝る
眠気をこらえて明け方4時~7時間の3時間の睡眠は浅い眠りになるのでNGです。
眠気が来たら「90分間」だけ寝てから仕事を再開したほうが深い眠りを確保できます。
海外出張先や帰国後の時差ぼけを治したい場合
時差ぼけで眠れなかったり、変な時間に眠たくなったりするのは、体温が乱れているせいと言われています。
時差ぼけを防ぐためにも、出発前から帰国先の時間に合わせて生活してみましょう。特に食事を現地時間に合わせるのがポイントです。
仕事のお供にこの2つ
- コーヒー
- ガム
コーヒーなどのカフェインが含まれている飲料は起きている時間が長いほど蓄積していく「睡眠圧」に対抗できます。(ただし夜中に飲むと睡眠時間が短くなるので気をつけましょう)
また、ホットコーヒーを飲むことで体温が上がり、覚醒度があがります。
体温を上げると覚醒するので冷たい飲み物ではなく、温かいものを飲みましょう。
ガムは誰もが知っている通り、脳が活性化されるのでおすすめです。
スムーズに入眠する4つのコツ
体温を理想の状態に調整する
就寝90分前に40度のお風呂に15分入ることが大事です。お風呂に入ることで、深部体温は0.5度程度上昇すると言われています。
深部体温は上がった分だけ下がろうとする性質があるので、お風呂に入って一度グッと深部体温を上げると、その反動で深部体温が大きく下がってきます。
深部温度と皮膚温度を縮める
お風呂に入らないと体温はゆるやかにしか下がりませんが、入浴で深部体温を一度上げることで、そこから急降下させることができます。
0.5度上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は90分で、90分以降は入浴前よりも深部体温が下がっていきます。
深部温度と皮膚温度を縮めることでスムーズに入眠のスイッチが入るということですね。
就寝前はできるだけ「退屈」にする
寝る前に脳に刺激を与えないことが鉄則です。
単調な高速道路の運転中は眠くなるように、人間は単調な状況に眠くなる法則があります。
- いつものベッド
- いつもの時間に寝る
- いつものパジャマを着る
- いつもの照明と室温で寝る
寝る前のツイッターは交感神経を刺激してしまう可能性があるので絶対にNGです。
僕はこれが一番厳しい気がしますがなんとか頑張ります(笑)
靴下を履いて寝ることについて
結論、寝るときは履かずに寝ましょう!
理由としましては身体の中の体温を、手足から放射し、下げて眠る、というサイクルができなくなってしまいます。
発汗し、熱を放射するので、部屋が暑すぎる、寒すぎる状態も避けましょう。
就寝時間を固定する
上記でも記載しましたが、どんなときも同じ時間に眠り、できれば同じ時間に起きる。
時間が変わったり、場所が変わると脳が反応して寝付けなくなってしまいます。
夜ご飯はちゃんと食べよう
覚醒物質「オレオキシン」は夜ご飯を食べることで落ち着きます。
逆に食べないと、お腹が空いて「もっと食べたい!眠れない!」の最悪な状況になる場合があります。さらにいえば自律神経の乱れや不調にも繋がります。
夜ご飯は「冷やしトマト」がおすすめ
冷やしトマトには身体を冷やす効果があります。
人間起きて動いているときは体温が上がり、眠っているときは身体を休めるために体温を下げているのです。
そこで、冷やしトマトで身体の体温を下げてあげましょう。
眠らないと太りやすくなる
眠らない人は「太りやすい」と本書で記載されています。
ダイエットに励む人は、まずは日々の睡眠を見直してみましょう。
睡眠不足による研究結果
- インスリンの分泌が悪くなって血糖値が高くなり、糖尿病を招く
- 食べすぎを抑制するレプチンというホルモンが出ず太る
- 食欲を増すグレリンというホルモンが出るため太る
- 交感神経の緊張状態が続いて高血圧になる
- 精神が不安定になり、うつ病、不安障害、アルコール依存症、薬物依存の発症率が高くなる
僕自身も寝不足の日の朝はなぜかやたらお腹が空いて仕事中に間食したことがありました。
これはもしかしたら「グレリン」というホルモンの影響だったのかもしれないですね。
朝なかなか起きれない人へ
今の時期は特につらい!
しかし朝なかなか起きれない人へも本書ではアドバイスをしているのでまとめてみます。
2つのタイマーを用意する
「90分の倍数で睡眠を取ればいい」と言われますが、本当はスリープサイクルには90~120分の個人差があります。
起きなければ行けない時間帯の20分ほど前に、もう一つアラームを用意します。
ポイントは「ごく微音で、短く」です。
1回目のアラームが鳴ったときに目覚めたらレム睡眠が来ている証拠です。
起きる少し前に目覚ましをセットすることにより、ノンレム睡眠時に起きれる確率が約1.5倍になります。
目が覚めたらとりあえず太陽の光を浴びる
これは有名ですよね!起きてすぐ行動すると体温のスイッチがオンになります。
そして太陽の光を浴びることで、「体内リズムを整え、眠りを推進させる」メラトニンの分泌を抑えられます。
裸足で床を歩いたり手を水で洗う
身体の中の温度(深部体温)と手足の温度(皮膚温度)を離すことで人は覚醒のスイッチが入ります。
今の時期は寒いですが、しっかり目を覚ましていきましょう!
朝ごはんは温かい汁物で身体の中を温めよう
朝ごはんはエネルギー補給や体内時計のリセット効果があるのでちゃんと食べましょう!
そこに温かい汁物を入れることにより、体温も上がるので覚醒が促進されます。
また、噛むことで三叉神経から脳に刺激が行くことにより頭が覚醒します。
噛まないと昼夜のメリハリがつかず、活発に行動できなくなる恐れがあるのでよく噛んで食べましょう。
気になる入眠前に飲酒について
結論、少量なら可です!しかし多く飲むと呼吸抑制の作用がでてきます。
日本酒で1~1.5合ぐらいなら寝付きも良くなるでしょう。ただし深酒には十分注意してくださいね。
週末の寝溜めについて
結論、普段より1~2時間多く寝るのは問題ありません。体が必要としている睡眠なのでOKです。
ただし、何度も記載していますが就寝時間はいつもと同じ時間に寝ましょう!
本書のまとめ
この本は、現在ぐっすり眠っているけども、さらに睡眠の質を改善して、日中の仕事のパフォーマンスを圧倒的に高めたい人に特にお勧めします。
「就寝90分前の入浴」「朝の裸足」など、今までやっていなかった、 睡眠によい生活習慣を今日から取り入れて、さらにぐっすり眠り、毎日完全回復して、今まで以上の仕事パフォーマンスを実現したいと思います。
実は上記がほんの一例
本書には科学的に裏付けされた実践的な「睡眠との付き合い方」が多数紹介されています。睡眠の質を向上させることで、仕事のパフォーマンスを上げたり、プライベートをより充実していきましょう!