こんにちは。Nagiです。
当サイト(Nagi Rhythm)は現在毎日1000日以上更新をしており、過去に様々な映画やドラマのレビュー記事をご紹介させていただきました。
本日はmellowを観てきたのレビューと感想をさせて頂きます。
ネタバレ若干ありなのでもし嫌な方は回れ右でお願いしますm_m
あらすじ
独身、彼女無し、好きな花の仕事をして、穏やかに暮らしているオシャレ花屋の店主・夏目誠一。父親から代替わりし今では廃業寸前のラーメン屋を営む女店主・木帆。街で一番オシャレな花屋と廃業寸前のラーメン屋を舞台に、様々な恋愛模様が描かれていく、不器用な片想いたちの物語。
一言で感想を言うならこんな作品
改めてこの時代だからこそ、先日レビューさせて頂きました「ラストレター」と同じく「文通」っていいなと思った作品でした。
「コクられたり、フラれたり」厳密に言えば恋愛ドラマではなく、恋に恋してるような人たちのお話なのでドロドロした物語ではありません。
相手に自分の気持ちを伝えるツールがメールとかではなく「手紙」で伝えてるのがすごく良かったです。
内容は一言でいえば田中圭が「モテまくる」お花屋さんの話
イケメンでモテモテの花屋さんが主人公という昔の少女マンガのような設定ですが、テーマは意外と深い。
今泉監督独特の「愛情を含めた感情」に対して登場人物たちの独特なこだわりがあります。
相手への思いやりと自分を律する部分への清廉潔白さが異常なため、それぞれの判断が一般常識からはかけ離れてしまう様子は愉快で面白く、そして考えさせられました。
田中圭こと夏目がモテまくる理由
繰り返しますが、いくらなんでも田中圭こと夏目氏モテすぎやろーーーー!!!!
何故モテるか・・・それはすぐに「気づく」からでしょう。
- 中学生からも告白
- 既婚者からも告白
- そして美人ラーメンウーマンからも告白
すごい花屋だったな。花屋に転職しようかとすら思ったレベル。
彼に想いをよせる女性たちも中学生から人妻まで、その年齢層の広さは奇跡的(笑)
同じ男性目線で見ても彼がなぜそんなにモテるかはわかるし、彼女がいない理由もわかる気がします。
髪を切っても気付かない男は山ほどいる
男性の場合、女性が前髪切ろうが髪の毛切ろうが化粧変えようが、極端な話「ロングをショートに切るくらい」しないと全然気付かない人多いケースが多い。
しかし好きな人がすぐ気付いてくれて「髪切った?」と言ってくれたら最高でしょうね。
あのときの照れてる木帆がすごく可愛かったです。すぐに気づく男はモテる。
作品を通して花が好きになる映画
花って全然興味がなかったし、むしろ敬遠していたけど割と興味を持ちました。
というのも私自身、前職を退職したときに花をいただいてすごく嬉しかったのですが、すぐ枯れてしまいなんだかショックだったんですよね・・・。
だけど花にも様々なストーリーがあることを知って「フラワーコーディネート」的なのがすごいなあと関心を持ちました。
花が画面を彩らせるし、素晴らしい歌にもなる
この作品を観て、背中を押された人も僕自身含め少なからずいるかもしれないと思いました。
恋愛部分も勉強になる
人には色んな好きがあって良い
ひと口に「好き」と言っても伝える好き、伝えない好き、異性の好き、同性の好き、誓い合った永遠の愛を壊しても通したい好き。
人それぞれの「好き」の捉え方や優先順位があるが、今回の作品を観て伝えなくては何も始まらないのだと感じさせられました。
夏目と木帆の関係性
あからさまに恋愛させるのではなく、それぞれの秘めたる想いをゆっくりと炙り出していく感じがとてもリアルでした。
それでいて田中圭の持つ優しいキャラも相まって、普段の2人のやり取りがとても羨ましくも感じました。
この映画がほっこりする2つの理由
登場人物に悪人が一人も出てこない
田中圭さんがおしゃれな花屋の店主を演じていて、好印象です。
やさしい雰囲気とか役にぴったりですね。
個人的に田中圭はあんまりかっこいいと思ってなかったのですが、この作品の田中圭はすごくいいなと思いました。
それに登場人物みないい人で悪人が一人も出てこないですし、ほっこりさせられます。最近アクション映画とかサスペンス系をよく観ていたから余計かも。
強いて言えば、ともさかりえさん演じる夫婦が変人ってことぐらいですかね。
しかしそれも笑いのエッセンスとしてこの作品のいい味になっています。
「花が恋人です」と言い切れる勇気
花を愛するなんて女性のすることだろうと、誰しも世の男性が一度は恥ずかしく感じる思いに対して、臆面もなく「花が恋人です」と言ってのける夏目の毅然とした態度がまたほっこりする理由の1つかと思います。
今泉監督の映画はハマったら抜け出せない話
「愛がなんだ」で今泉監督の映画に一気にハマりました。
このなんとも言えないエモさと誰も悪くないけどなんだかモヤモヤする感情はどこにぶつけたらいいのだろうか。
「愛がなんだ」も映画館で観たましたが、狂気がありその異常性を楽しみつつ「愛がなんだってんだ!」の言葉を反芻し考えていました。
一方「mellow」は儚く脆く淡い印象でありながら「好きとは」を考えるきっかけとなりました。
今泉監督渾身のオリジナルストーリー
監督の持ち味とか独自のセンスが随所に活かされているなぁと感じられました。
恋愛におけるあるあるな感情を、さりげない会話の中に鋭く滲ませてハッとさせる感じ、本当に上手い。
そしてオシャレなお花屋さんの内装とは対照的に流行らない「中華料理屋」と「昔風の美容室」の店内美術がリアルでよかったです。
監督のこだわりを感じさせられました。
mellowには窓がある
屋のソファで会話をしている夏目や常連客、姪っ子らに焦点があてられながらも、外の景色でも人が歩いてるんですよね。
こういう丁寧な作りが今泉監督のこだわりなのかなあと印象的でした。
この映画の気になった2つのシーン
既婚者から告白されるワンシーン
夏目と既婚者と二人でこっそり密会して話すのではなく、旦那もいるシーンで思いっきり堂々と「好きです」と話をすべきという旦那のシーンが強烈でした。
「だって好きだから」「好きだから幸せになってほしいから」。
こそこそするのが嫌いな自分はそれも「正論」だと思うし、逆に夏目のように「え?ちょっとまってくれ」という感情もあるし本当に誰も悪くない。
いつ人のことを好きになるかも分からないしなあ・・・。
この夫婦に対しての夏目の困り果てたリアクションが真っ当で共感出来てとても良かったです。
木帆がカフェで告白するか相談するシーン
友人に告白するべきかどうか相談してる場面のやり取りのところもまた、共感出来る言葉があって良かったです。
果たして木帆は夏目に想いをどう伝えるのか、そして夏目は木帆の想いをどう受け止めるのか。
告白は自己満なのか
作品の中でも社会を冷静に俯瞰して見ている木帆が「結局自己満だ」と発言します。
想いを伝えても言いっぱなしになってしまう可能性、「ありがとう、でもごめんなさい」という断り文句。
けど、伝えることで新たなスタートが切れます。
想いを伝えるってとても大事なことだけど
すごく勇気がいるし、とても難しいことでもある。
相手を想うからこそ、伝えない方がいいと思ったり、だけど、伝えなかった場合には後悔が残ったり…。
誰もがそんな風に思い悩む経験があるのではないかと思いました。
この映画で好きなシーン
「ありがとう、でもごめんなさい。」
その言葉で、心はふわっと軽くなる。
踏み出せない恋にあと一歩を教えてくれる、優しさに溢れる映画でした。
夏目が最後に作って持参した花束の、その可憐な美しさにほっこり出来ました。エンディングが花を包んでるシーンが素敵すぎました。
そんでいろんな想いの詰まった「飛行機!」が可愛すぎて全部持っていかれました。
このサラッとした終わり方すごく良かったです。
告白してフラれたら確かに気まずいかもしれない
好きな人に、ちゃんと伝えて、それを受け取った側はちゃんとその気持ちを受け止める。
「ありがとう。でもごめんなさい。」
振って終わるのではなくて、それがきっかけで距離が縮まって、お互いをより知れる機会になるかもしれないですよね。
告白は勇気がいるもの
打ち明けること、めちゃくちゃ勇気のいることですが、その気持ちを体現してくれるのが、「花」で、そっと背中を押してくれる存在なのかもしれません。
作品の中でそこまでは描かれませんが、『自分だったらどう伝えるかな?』と、そんな心地よい余韻に浸りながら映画館を後にしました。
この映画を観終わった後にしたくなること
この映画を見たあなたは必ず、映画館から出たらちいさなラーメン屋さんに寄りたくなります。
そして、花が買いたくなるでしょう。
改めて美しい映画でした。今泉監督最高!評価5/5