こんにちは。Nagiです。
当サイト(Nagi Rhythm)は現在1500記事以上投稿をしており、過去に様々な映画やドラマのレビュー記事をご紹介させていただきました。
本日はタイトル通り「5年以上映画を年間100本以上見ている映画オタクが語る、2024年上半期ベスト映画TOP10」をご紹介させていただきます。
今回は2024年に上映されたorされていない関係なく、上半期に見た映画の中で良かったものをご紹介していきます。
まず結論からお伝えすると以下の通りです。
- 哀れなるものたち
- FALL
- マイスモールランド
- エンディングノート
- オッペンハイマー
- さかなのこ
- 聖なる鹿殺し
- ようこそ映画音響の世界へ
- ブルーマインド
- BLUE GIANT
それぞれ順不同です。上から順に解説をしていきます。
哀れなるものたち
結論から言えば、現在1000本弱ほど映画を見てきた中で過去1を争うレベルで好きな作品でした。好みは別れるかもしれませんが、「なぜこんなに惹かれるのだろう」と不思議なほどこの世界観に引き込まれていて、2時間半と長い時間なのに「終わってほしくない」という気持ちでいっぱいでした。
「哀れなるものたち」のあらすじ
せっかく自分の中で過去一の作品と出会えたので、公式引用なしで全部自分の言葉で書いていく。あらすじ紹介をするのが決して得意なわけではないので少々ネタバレ注意。
まずモノクロの世界観から始まり、歩き方もおかしくてご飯を食べては全部子供のように吐き出すお姉さんがいます。お姉さんの名前はベラで主人公。皿を割って遊んだり、まるで子供のように遊んでいて、傍から見ると完全に「障碍者」にしか見えません。そしてその家にはアヒルと犬(?)を合体させたような動物もいたりまるで頭のおかしなSFのような世界観が第一印象。あまりに頭のおかしな世界観なので「正直あまり印象が良くなかった」のが本音なところ。
後々物語を進めていくことに気づくのが、なんと元々このお姉さんは妊娠していたのですが旦那(軍人)に対するストレスがあまりにひどく飛び降り自殺をして、病院の先生(ゴッド)に拾われるのだが、自分のお腹にいる胎児と自分の脳みそを交換させるという実験をする。
ここまであらすじを読んで「一体こいつは何を言っているんだ・・・?」と思う方も多いはず。いや本当に訳が分からない話だけどここから物語がスタートしていきます。
なぜここまで惹かれるのか良かった点を紹介
過去1の映画ということで、文章をダラダラ書くよりも箇条書きでパシッと書いた方がハマりやすいと思うので以下メモがてら。
- ファッションもインテリアもとにかくラグジュアリー。何もかも品が良い。「食べ方」以外。
- けど成長するにつれ食べ方も綺麗になっていく様がなんとも言えない。
- 「旅って良いな」と思う。様々な国へ旅をするごとにベラがどんどん研ぎ澄まされていく
- 格差の激しい船であっても全力で助けようとするベラの心の広さ=子供ならではの純粋さ
- 流行に沿った「生成AI」で生成されたかのような背景と船
- 良いところも汚いところもモザイクなしで完全に素でドストレート。純度100%
- 半沢直樹を凌駕するレベルのラストのスカッと具合
良いところをあげだすとキリがないけど、パッと思いつくところでいえば上記の通り。
しかし子供って他人の目など気にせず思いっきり全力で遊ぶもの。ベラのように「脳みそが子供のまま身体は大人という状態」で思いっきり大人が自分のやりたいようにライフスタイルを楽しんでいる姿を見て、自分ってある意味社会に出てすごく汚れていったのだと知りました。知らぬ間に自分の中でかかっていたストッパーを外してくれる映画を自分は本作以外知りません。
間違いなく自分ならホームレスに大金渡したりすることがないし、子育てをしたことがない自分が言うのもなんだけれど、とにかく「子供の純粋さ」ってところが良いと思わせてくれました。
大人になるにつれ、嫌でも純粋度だったり自分らしさというのがなくなっていくのを身に染みたので、もっとやりたいことやろうって思える素敵なストーリーがなんとも言えない。R-18だけど。
一人で見ることをおすすめ
最後にここまで色々と絶賛しているけど「間違いなく一人で見ることをおすすめ」します。仮に初デートだと間違いなく気まずくなること確定。
というのも脳みそも裸もモザイク一切なし。行為中でさえ。後々調べてみるとR-18と記載されてあったけどR-25くらいでもいいのではないかと思うほどのレベル。かなり刺激は強め。
決してグロい内容が出るわけではないけど、普通に体にメスを入れるシーンを一切カメラワークをズラすことがなくそのまま描写するのは初めて見た気がします。
思わず目を背けたくなるシーンもあったけど、これも人間が生きる上の本質。ただ繰り返しお伝えすると「モザイクが一切ない」ので気まずくなること間違いなしなので必ず一人で見るように。
FALL
結論100点満点。ユニバのジェットコースターに乗るくらいならこの映画を見た方がスリルを楽しめるのではないか?と思えるほど、この2時間手汗が半端ない。
というよりある意味そのへんにあるホラー映画の100万倍怖い。普段パソコンで映画を見るのだが、何度も怖すぎてパソコンのスクリーンを最小にしてしまった。もしこれが映画館となると退出するレベル。
多くのレビュアーが書いている様に、「もし自分がこの環境下にいたらどう行動をとるだろう」かと、何度も自問自答をする。
- しんどいくらいなら自死を選ぶ
- それでも助けを待つ
- あらゆる試行錯誤をする
コンバースの中にスマートフォンをいれて”クッション”となって助けを呼ぶシーンがあったり、なんとしてでも水分補給のためにバッグを取りに行ったり、人の生命力は純粋にすごい。
ラストの鳥を食べるシーンにもあったが、改めて我々は「食」によって生かされている。エネルギーを得るためにはタンパク質が必要。Gacktも言っていたが「何を食べるか」ってすごく大事。
伏線回収も非常に綺麗で、個人的に今年見た映画TOP10とさせてください。
マイスモールランド
結論からいえば100点満点。この映画の全てが学びになるし、Filmarksがなぜこんなに高評価を連発しているのかも納得の作品。人種とか国境とか、そんなのどうだっていいのに全て「大人の事情」で全て片付けられてしまう日本人以外の人たち。
まあある意味差別にはなるのだけど、
- 日本人じゃないからバイトがクビになる
- 日本人じゃないからあの子と会っては行けない
- 日本人じゃないから他府県に行ってはいけない
などなど自分の知らない縛りがあって、「かわいそう」と言ったら人ごとになってしまうので、「自分が海外で生活をするなら」と自分ごとで考えてしまった。
ビザの関係で将来ある娘のために、自分が身銭を切って自国に帰る父親(多分もう2度と会えない)の格好いい背中を見ると、自分ならあそこまでできないなと思ってしまった。
たとえ血が繋がっていようが、「他人よりも自分」になってしまう自分はまだまだお子様なのかもしれないけど、いつかはサーリャの父親のような背中と心が広くなるのかな。
それにしてもサーリャ役を務めた「嵐莉菜」さん(初耳で恐縮)が役にピッタリすぎました。演技がうますぎるし調べると19歳に見えない。今後も活躍を期待。
エンディングノート
1000本近く映画を見てきて初めてこんなに映画で泣いたかもしれない。全く知らない赤の他人の一生を追う、ただのドキュメンタリーなのになぜこんなに人生とは尊いのか考えさせられる素晴らしい作品。
どんなに辛いことも、幸せなことがあっても、お金がなくとも、人生って良いなとシンプルに思わせてくれて人との繋がりの大切さを分からせてくれた。
これはシンプルに今までの映画ベスト3とさせてください。
オッペンハイマー
広島と長崎に投下した原爆を開発した天才「オッペンハイマー」を追うドキュメンタリーなのだけれど、まあなんとも言えない迫力で中盤以降は一切目を離せない作品だった。
※ノンフィクションのためクリエイティブな部分を除いて「ネタバレ」という部分が一切ないので簡単に説明をすると以下の通り。
- 序盤は死ぬほど眠い。睡眠時間10時間とっても眠い。12時間睡眠してようやく着いていける内容
- 広島に落とした「リトルボーイ」、長崎に落とした「ファットマン」が改めてどれだけ悲惨だったのか身に染みる。
- 実験段階で”アレ”なわけなので、あとでWikipediaを見返したら心臓がズキズキする。
- 広島平和記念資料館に行きたくなる
- ”あえて”京都に落とさなかった理由が分かる
- 原爆を作った=めちゃくちゃ悪い人というわけではない
- 広島ばかりが目立ってなぜ長崎がそんなに目立たないのか不思議
広島や長崎の人が見たら心が苦しいかもしれないけど、日本人だからこそ全員見るべきだと思う作品。(つい最近広島に行ったばかりだけど、原爆ドームに行けばよかった・・・。)
苦手ということもあって小生は戦争系映画を一切見ない派だけど、オッペンハイマーは完全に別枠。人の首が飛んで死んだりするわけでもないし、できるだけ綺麗に、そして忠実に再現しているのでまた「別」だなと。3時間は確かに長いけど、これが2時間だとちょっと物足りなかったかもしれない。
1度で2度美味しい
映画館を後にしてWikipediaで第2時世界大戦の酷い内容を見るのをかなりおすすめ。
どれもこれも変態で気が狂った人たちばかりで、決して出会うことすらない人種なのだろうけど、本当にこんな人が実在したんだと思うとまるでアートのようにも思えてしまう。
PS:「オッペンハイマー」て映画化するまで完全に映画の題材としか思えなくて、社会の教科書にすら載ってなかったですよね?完全にネタバレなしで見たため、戦争系の作品なのだと知った次第です。
さかなのこ
まるで大谷翔平のドキュメンタリー映画を見ているかのような「好きなことで生きていく」を体現した作品。大谷翔平の場合は野球、藤井聡太くんの場合は将棋、そしてミー坊の場合は魚。
先生と母親を揃えた三者面談のシーン「勉強はできなくとも、みんなが勉強できたらそれはロボットみたいじゃないですか、先生。」の母親の一言が突き刺さります。
それが将来稼げようが、稼げなくても人生1度切り。嫌なことで大金を稼ぎ続けるよりも少額でも好きなことで稼ぎ続けたほうがきっとロマンがある。
「他人からすると変人」でも、マイノリティな生き方が今後の世の中にもっと浸透するといいなと思える前向きになれる作品でした。
聖なる鹿殺し
まさに最低最高の胸糞映画。大好き!
あまりにも大興奮がすぎるが故にこの感情をしっかりと伝えられる気がしないので箇条書きで。
- 鬼気迫るBGMが素敵。まるでサイレントヒルがチープに感じるほど。
- バリー・コーガンの天才的な演技。気持ち悪すぎてこれ役抜けるの?と心配になるほど。
- 最初から最後までハッピーなシーンが1つもない。
- 登場人物全員がキチガイ。なんだかんだで母親が1番キチガイなのかも。
ラストでスティーブンが打った弾が、偶然にも「ボブに当たってしまった」のだと初めは思ったけど、運命に選ばされたつもりで、初めからもう死ぬのはボブだと決まっていたのだとしたら…?
心臓を一撃だったことも、スティーブンが目隠しで回転して撃ったにしては、不自然である。ここが本作品の根幹。マーティンに最後までなびかなかったのは、幼いボブだけなわけで。
ラストの終わり方も気味が悪すぎて最高に後味も悪い。小生は朝の8時に起床してベッドで寝転びながら鑑賞したが、朝に全く向いていない作品。なんだか今日はずっと気分が沈んでいる。
自分がもし主人公ならどういう行動をとっていたか照らし合わせる作業がとにかく楽しかった。100点満点とさせてください。
ようこそ映画音響の世界へ
クリエイティブって良いなと思わされる作品。映画ってほとんど脚本と映像ばかりの視覚効果に目がいきがちだけど、本作を通じて改めて「聴覚」も交えて初めて完成することを知る。なんだかすごく感覚が研ぎ澄まされた気分。
映画一本を作るのに一体どれだけ多くの人が関わるのだろう。莫大なる人件費を重ねて、血の滲む努力を経て、それでも泣かず飛ばすということさえもある。
様々な動物の鳴き声をミックスさせて飛行機の音を作ったり、あとで観衆デモの音を重ねてみたりリアリティーを追求するために一体どれだけの時間がかかるのだろうと驚愕するシーンの連続。
「良い音楽を聴くには、良いヘッドフォンやスピーカーを使おう」という言葉があるように、自分ももっと良い環境を作ることができたらと思ったのと、映像美だけでなくサウンド面にももっと重視をして映画を楽しもうと思った。
ブルーマインド
結論からいえばクソ面白い。なんでもっと早く見なかったんだと後悔。
思春期ならではのモヤモヤ、初潮、万引き、ドラッグ、そして身体の変化が全く違う方向に進み、いわゆる人魚になるのは全く想像もつかなかった。初めてみるタイプの映画。個人的にストレスを感じると針を飲んでしまう主人公を描いた「Swallow」とセットで見るとより一層面白い。
身体の変化は止まらず、いよいよ脚の皮膚は剥がれ、鱗があらわれる。人魚への変容を拒絶するミアが自らの手でくっついたつま先をカットしたり、鱗をはがす場面はかなり痛々しい。
これ以上身体の変化を隠し切れなくなったミアが、ジアンナに姿を見せても当たり前のように人魚姿のミアを受け入れるジアンナの心の広さ・・・。自分なら声が出ずにその場で立ちすくんでしまうかも。
どんなハンディキャップがあろうが、彼女らの友情は本当に熱くてうっとりさせられます。
ミアがママに「本当は実の子じゃないのか」「養子なのか」と問い詰める場面があります。
しかし娘の真剣な質問に対して、ママは誤魔化すばかりで「自分が産んだ」とは一切答えない。ここで自分は「やっぱり彼女は人魚なのだろう」と悟った。こういう人間の子じゃない映画については「LAMB」とセットで見るとさらに面白いかも。
※手首を切るシーンなど自傷行為も惜しみなく出るのでそういった映像が苦手な人は注意。
BLUE GIANT
「これ泣かんやつおるん?」てくらいめちゃくちゃ感動した。Filmarks全体の評価も納得。原作を読んでいない自分でもジャズにも全く精通していない自分でも十分楽しめる。かなりおすすめ。
他人からどれだけバカにされようが、それでも「あいつがいるから」と頑張れるこの3人の姿勢を見るだけで心が奮い立たされる。「チームで仕事をしている」という人も多いとおもうけど、それってお互いがリスペクトし合えているから成り立つものでもある。スキルも大事だけどまずはお互いのことを好きになって尊敬しあえてからなのだ。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるけどまさしくその通りだと思う。大谷翔平さんも本主人公である「大」のようにアホほど練習をして世界を獲っています。
えぐい練習量であっても全く苦になるわけでもなく、圧倒的な継続力こそがどの業界にも通ずるのだろうと思える、久しぶりに心奮い立たされる作品と出会えました。
- バンドでご飯を食べたい人
- 最近仕事に対するモチベーションが落ちている人
- 3人くらいのチームで仕事をしている人
- 感動ものの映画を見たい人
- 感動ものの映画を見たいけどスポーツ系は飽きたという人
これらに当てはまる人はぜひみてほしいです。全力でおすすめ。