【気まずいシーンあり?】映画「汝、星のごとく」感想・考察【ネタバレあり】
こんにちは。Nagiです。
筆者の崇拝する小説家である凪良ゆうさんの小説『汝、星のごとく』が映画化されたので、さっそく映画館で見てきたのでレビューします。
結論から言えば、原作も良かったですが、映画版も神レベルにクオリティーが高かったです。 個人的には『流浪の月』を超えるほど好きでした。
以前、映画版『流浪の月』のレビューも書きましたが、今回も横浜流星さんと広瀬すずさんの演技がまじでエグい。
しかも今回は、以前私自身が一人旅をした今治周辺の景色がずっとスクリーンに映っていたので、余計に感情移入してしまいました。
恋愛映画だと思って観に行ったのに、見終わって考えたのはお金、仕事、親との関係、健康のことばかり。特に最後の健康。ここまで人生について考えさせられるとは思いませんでした。
この記事では、前半で作品情報とネタバレなしの感想を紹介します。後半はラストの意味や原作との違いも含めて、率直にレビューしていきます。
目次
- 映画『汝、星のごとく』のあらすじと作品情報
- しまなみ海道を80km走った自分には、映像が刺さりすぎた
- お金を稼ぐことと幸せになることは別の話
- 一気に成り上がる櫂と、コツコツ仕事を続ける暁海が超絶対称的な件
- 生まれた家庭で、人生の選択肢がここまで変わるのか
- 愛しているだけでは、一緒にいられない
- 横浜流星の激痩せがすごい。体調不良の伏線にも驚いた
- 原作小説と映画版の違いは? 映画ならではの構成が良かった
- 『汝、星のごとく』のタイトルの意味は? ラストの回収に鳥肌が立った
- 広瀬すずの演技が神がかっているけど高校3年生役は少し違和感かも
- 映画を観て気になったら、原作『汝、星のごとく』と続編『星を編む』もおすすめ
- まとめ→恋愛映画というより、人生そのものを描いた作品
映画『汝、星のごとく』のあらすじと作品情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開日 | 2026年10月9日 |
| 原作 | 凪良ゆう『汝、星のごとく』(2023年本屋大賞受賞) |
| 監督 | 藤井道人 |
| 脚本 | 安達奈緒子 |
| 主演 | 横浜流星、広瀬すず |
| 上映時間 | 135分 |
| 主題歌 | RADWIMPS「夕星 −ゆうづつ−」 |
瀬戸内の島で出会った青埜櫂(横浜流星)と井上暁海(広瀬すず)。

複雑な家庭環境を抱える二人は次第に惹かれ合いますが、櫂は夢を追って東京へ、暁海は母親の事情から島に残ることになります。
離れ離れになった二人は、仕事や家族との関係に翻弄されながら、それぞれの人生を歩んでいきます。
高校時代から大人になるまでの15年間を描いた作品で、長い年月の中で変わっていく二人の関係は『秒速5センチメートル』にも少し通じるものを感じました。
もちろん物語はまったく異なりますが、時間の経過とともに変わっていく環境や心の距離には、どこか似た切なさがあります。
あらすじだけを見ると恋愛映画ですが、実際にはそれだけではありません。お金や仕事、親との関係など、好きという気持ちだけではどうにもならない現実が描かれています。
初っ端から気まずいシーンありなので注意
「流浪の月」同様、横浜流星さんと広瀬すずさんの濡れ場的なシーンがあります。
高校3年生ながら船の中で致すシーン+先生から避妊をしたかどうか+コンドームを渡されるシーンがあるので家族や恋人とみるのはかなり気まずいかも。
そのため一人で見ること推奨。
しまなみ海道を80km走った自分には、映像が刺さりすぎた

舞台は愛媛県今治周辺の瀬戸内。先ほど記載しましたが、実は2024年に私自身が一人旅でしまなみ海道を訪れ、尾道から今治まで約80kmをレンタサイクルで走ったことがあります。

当時は景色を楽しむ余裕がなくなるくらいきつかったのですが、橋の上から見た海と島々は今でも鮮明に覚えています。360度どこを見ても絶景で、頑張って走ったかいがありました。
映画を観ている間も、あのときの景色をずっと思い出していました。とにかく空と海が美しい。記憶にある限り雨のシーンも思い浮かばないほど、瀬戸内の青さが印象に残っています。
しまなみ海道をレンタサイクルで80km走った一人旅の記録には、実際に撮影した写真も載せています。映画を観てあの景色が気になった方には、ぜひ見てほしいです。

ちなみに、映画の制作ノートを読んで驚いたのが撮影方法。
藤井道人監督は15年間を3つの章に分け、
- 最初は「EOS 7D」
- 中盤は「ALEXA」
- 終盤は35mmフィルム
と、章ごとにカメラを変えたそうです。私は撮影機材の違いまで気づけませんでしたが、時間が流れていくにつれて映像の雰囲気が変わるのも、この作品の魅力だと思います。
※ここから先はネタバレありです。 櫂と暁海の関係や病気、ラストの展開にも触れます。未鑑賞の方はご注意ください。
お金を稼ぐことと幸せになることは別の話

一番考えさせられたのは、漫画原作者として成功していく櫂の変化でした。
大金を稼ぐようになり、生活レベルも付き合う人も変わっていく。クラブ(ラウンジ?)のような場所ではしゃいでいる姿なんて、高校時代の櫂とはもはや別人に見えました。なんなら酒を飲みすぎてぶっ倒れるレベル。
服や靴を買ってあげても、広瀬すず演じる「暁海」は嬉しそうじゃなかった

特に印象に残っているのが、櫂が暁海に服や靴を買ってあげる場面です。
お金に余裕ができて、好きな人に良いものを買ってあげたい気持ちは分かります。でも、暁海はちっとも嬉しそうではなかった。
指輪の件もそうですが、相手が欲しいものを分かっているつもりで、実は分かっていなかったのかもしれません。
お金があることと、大切な人を幸せにできることは違う。 この二人を見ていると本当にそう思います。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を思い出した
自分は幼少期から、親に「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と言われて育ちました。
意味が分からないほど稼げるようになったときこそ、生活レベルをむやみに上げず、2ch創設者である「ひろゆき」さんのように謙虚でいるからこそ痛い目に遭わないのだろうと思います。
成り上がった時こそペコペコしておくのが鉄則。以下のひろゆきさんの本のレビュー記事も是非ご覧ください。
櫂の成功自体はすごいことですし、贅沢をしたから病気になったわけでもありません。ただ、調子が良いときほど大切なことを忘れやすいのではないかと思いました。
300万円を貸せるほど成功した櫂を見ながら、仮に自分も同じくらい稼げたら、今と同じ生活を続けられるだろうかと考えてしまいました。
一気に成り上がる櫂と、コツコツ仕事を続ける暁海が超絶対称的な件

今治から東京に旅立った櫂とは真逆で、広瀬すず演じる「暁海」は毒親の問題に振り回されながらも地道に働き、おそらく一切稼げないであろうと思われた刺繍の技術を磨いて自分の仕事をつくっていきます。
いや、馬鹿にするような言い方で申し訳ないですが、まじで「刺繍なんか誰が儲かるん?」というような職業。しかし、周囲の助けもあったとはいえ、それでも毎日コツコツと積み上げていき自分の力で生きていこうとする姿勢に見入ってしまいました。
櫂が短期間で大きな成功を収めたのに対し、暁海は長い時間をかけて少しずつ積み重ねていく感じがあまりに対照的すぎてびっくりするほど。
インデックス投資と似ている件
なんだか暁海を見ていると「投資に似ているな」と思いました。
短期間で大きな利益を狙うより、インデックス投資のようにコツコツ続ける方が、長い目で見れば天才的トレーダーよりもパフォーマンスが良いというのは有名な話。
もちろん、堅実に生きていれば必ず報われるわけではありません。櫂のように挑戦して大きな結果を出す生き方にも憧れます。二人のどちらが正解というより、自分は今後どう生きたいのかを考えさせられました。
先日読んだ『オルカン思考』のレビューでも、短期的な利益より長期で積み重ねることの大切さについて書いています。
映画を観ながらも何事も長期的に考える大切さを考えました。
生まれた家庭で、人生の選択肢がここまで変わるのか

この映画で一番複雑だったのは、親との関係です。二人ともいわゆる完全なる親ガチャ外れを引いてしまい、ストレートに言えば毒親のカテゴリーに値するでしょう。
- もし二人が裕福な家庭に生まれていたら?
- もし東京で生まれ育っていたら?
そんなことを何度も考えてしまいました。
櫂も暁海も、自分のやりたいことがあるのに親の問題がついて回る。本人がどれだけ努力しても、家庭環境だけは簡単に変えられません。
正直、自分が暁海だったら櫂について東京に行ったかもしれない。それでも母親を見捨てられず、今治に残った彼女の気持ちも分かるんですよね。
親を大切にすることと、自分の人生を犠牲にすることは同じではないはずです。でも、実際にその立場になったら簡単には割り切れないのでしょう。
今そんな私は親元を離れて暮らしていますが、映画を観たあともう少し定期的に地元へ帰省しようかなと思いました。
田舎特有の噂話も妙にリアルだった
田舎出身の自分としては、周囲の噂話もかなりリアルでした。
他人の恋愛や家庭事情があっという間に広まってしまうし、事情をよく知らない人まで話題にしていて「そういうゴシップが楽しくて仕方ない人」もいるんですよね。(私の親もかなり好きなタイプです笑)
もちろん、田舎ならではの助け合いもあります。ただ、みんなが顔見知りだからこそ息苦しくなることもあるし、美しい景色とのギャップがなんとも複雑でした。
愛しているだけでは、一緒にいられない

櫂と暁海の遠距離恋愛も、なかなか厳しいものがありました。
東京と今治では気軽に行き来できる距離ではないし、生活水準も人間関係も天と地ほど違っていくし、東京には新しい出会いだってたくさんあります。
しかも櫂は浮気までしていた
掃除中に女性のシュシュのようなものが出てくる場面は、暁海が気づいていたことも含めてつらかったです。なのに本人に伝えないシーンがきつすぎた。
自分が櫂だったら関係を守れたのか正直、分かりません。もちろん浮気が許されるわけではありませんが、何年も離れて暮らしながら同じ気持ちでいることは簡単ではないと思います。
映画『佐藤さんと佐藤さん』を思い出す

佐藤さんと佐藤さんも仕事や立場の変化から、二人の関係が少しずつ変わってしまう作品でした。好きだから一緒にいられるとは限らないんですよね。
それでも最後まで二人のつながりが残っているのを見ると、「運命」ってあるのかもしれないと思ってしまいました。是非セットで見てほしいです。
横浜流星の激痩せがすごい。体調不良の伏線にも驚いた

終盤の横浜流星さんはもはや別人レベル。どんどん顔色が悪くなり、最後には別人のように痩せ細っており、病気の人を演じていると分かっていても、観ているのがつらかったです。
思い返せば、体調不良を感じさせる場面がいくつもありました。
- ホテルで指輪を渡そうとしていたのに、寝てしまう。
- 食事に誘われてもお腹を押さえ、早々に帰ってしまう。
- 物語が進むにつれて、顔色や体つきが変わっていく。
最初は仕事で疲れているのかなと思っていたのですが、病気が分かったあとだと見え方が変わります。「ああ、あの場面もそうだったのか」と、見終わってから何度も思い返しました。
横浜流星さんの役作りがやばい
- 高校時代は62kg
- 上京後は57kg
- 終盤には48kg
まで体重を変えたと明かしています。
あの姿が実際の肉体の変化によるものだったとは驚きです。まじでプロ意識やばすぎる。
観終わったあと、お酒を控えたくなった

櫂がお酒を飲む場面も印象に残っています。なんなら高校3年からウイスキーを飲み続けるわけで、改めて健康に気をつけようと思いました。肝臓は「塵も積もれば山となる」で間違い無いです。
もちろん、櫂の病気が飲酒だけで起きたと断定することはできませんが、日頃の飲酒習慣を見直したくなる人はいるのではないでしょうか。
健康診断はちゃんと受けたいですし、腹痛や体調不良が続いたら放置せずに必ず病院にいきましょう。
どれだけお金を稼いでも、健康を失ってしまえばできなくなることが多すぎます。
原作小説と映画版の違いは? 映画ならではの構成が良かった

大きな違いの一つが冒頭です。
原作は現在の暁海を描くプロローグから始まりますが、映画は机に向かって何かを書く櫂の後ろ姿から始まります。最後まで観ると、この入り方にも意味があったのだと分かります。
また、原作は櫂と暁海の視点が交互に描かれる構成なのに対し、映画は3章構成。二人の心の声を文章で読む原作と、俳優の表情や沈黙を見せる映画では、気持ちの伝わり方も違いました。
細かな設定にも変更があり、瞳子の家を訪れる場面では原作と映画でその目的が変わっています。
藤井監督が明かした制作意図を読むと、暁海が自分の人生をどう選ぶのかを、映画ではより前面に出したかったのだと感じます。
原作の心理描写をすべて再現することはできませんが、私は映画版で物足りなさをほとんど感じませんでした。むしろ大満足。
あの瀬戸内の景色と俳優陣の演技が加わったことで、また違う魅力を持った作品になっていたと思います。
『汝、星のごとく』のタイトルの意味は? ラストの回収に鳥肌が立った

そして何より素晴らしかったのが、ラストのタイトル回収です。
櫂が書いた小説のタイトルが『汝、星のごとく』。最後にこの名前を目にした瞬間、「そういうことだったのか!」と思いました。
「汝」と「星」は誰のことなのか
「汝」は「あなた」という意味です。櫂が暁海に向けた言葉だと考えると、長い間離れていても、彼にとって暁海はずっと特別な存在だったのでしょう。
でも、私は逆の意味もあるように感じました。暁海にとっても櫂は、簡単には忘れられない人だったはずです。
星は遠くにあって、手を伸ばしても届かないけど、見上げればそこにある。二人の距離感に重なるような気がしました。
主題歌「夕星 −ゆうづつ−」ともつながっていた
RADWIMPSの主題歌『夕星 −ゆうづつ−』も、この映画にぴったりでした。夕星とは、夕暮れの空に見える金星、いわゆる宵の明星のことです。
今治と東京で離れて暮らし、何度もすれ違った二人。それでも互いの存在が消えなかったことを思うと、このタイトルがますます好きになりました。
ラストの小説を、櫂から暁海への愛情として読むこともできるし、言えなかったことをようやく伝えた手紙のように受け取ることもできます。ただ、あの小説があったからといって過去の浮気やすれ違いまで消えるわけではありません。
それでも、こんな結末を見ると運命というものがあるのかもしれないと思ってしまいます。タイトル通りの作品を最後まで描き切ったことが、何より見事でした。
広瀬すずの演技が神がかっているけど高校3年生役は少し違和感かも

ここまで褒めまくりましたが、一つだけ気になったのが広瀬すずさんの高校3年生役が正直違和感だったのは自分だけじゃないはず。
演技が悪いわけではないのですが、どうしても大人に見えてしまいました。
一方で、横浜流星さんは制服姿でも不思議と違和感がありませんでした。マジで高校生に見えた・・・。
『国宝』のときも思いましたが、年齢も境遇も違う人物を演じきる力がすごい。さすが俳優。
映画を観て気になったら、原作『汝、星のごとく』と続編『星を編む』もおすすめ
映画だけでも十分楽しめますが、二人の細かな心情をもっと知りたい方には原作もおすすめです。
特に、映画では表情や短いやり取りで描かれていたすれ違いを、文章でじっくり読みたい方に向いていると思います。
続編の『星を編む』では、北原先生の過去や櫂を支えた編集者たち、暁海のその後の人生などが描かれています。映画を観たあとに読むと、さらに作品の世界が広がるはずです。
まとめ→恋愛映画というより、人生そのものを描いた作品
『汝、星のごとく』は、原作を読んでいても映画館で観て良かったと思える作品でした。個人的にアマプラ待ちよりも絶対に映画館で見たほうが迫力があって良かったです。
恋愛だけでなく、お金を稼ぐこと、親との関係、育った環境、健康について、こんなに考えるとは思いませんでした。
櫂のように大きな成功をつかむ人生もあれば、暁海のようにコツコツ積み重ねる人生もあるわけで、どちらが正しいと決められるものではありませんし、努力してもどうにもならないこともあります。
だからこそ、調子が良いときほど「謙虚でいること、健康に気をつけること、今そばにいる大切な人を大事にすること」そんな当たり前のことを忘れずにいたいです。
しまなみ海道の景色も含めて、個人的には『流浪の月』を超えるほど好きでした。久しぶりに、映画館を出てからもずっと考え続けてしまう作品に出会えました。おすすめ。

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