こんにちは。Nagiです。

ここ10年くらい映画を最低年間100本見ていたのですが、あまりに一人時間がなくなってきたのもあって気が付けば今年は100本いけなさそう。

まぁそんなこんなでガチでクソ楽しみにしていた2026年9月に公開されたばかりの実写版「ルックバック」を観てきました。

アニメ映画版の「ルックバック」については映画館で観ており、当時の感想は「【泣ける】ルックバックを見た感想【全クリエイターは見るべき作品】」で書きました。

そんな作品を是枝裕和監督が実写化すると知って、最初に思ったのは「あれだけ完成度の高いアニメ版があるのに、もう一度実写で作る意味はあるのか?」という不安でした。

何を隠そう、

という状態で99分の映画を観て、もう一度何か感じるものがあるのかという点がありました。
結論からお伝えするとそんな不安は一切不要なくらい実写化した意味は十分にあったと思いました。

※ここから実写版とアニメ版を比較します。後半はラストまで触れるためネタバレにご注意ください。

created by Rinker
¥484 (2026/10/05 10:21:58時点 Amazon調べ-詳細)

実写版『ルックバック』を観た感想を一言で言うなら?

実写版を観て一番良かったのは、アニメと違ってさらに藤野と京本が一緒に過ごした年月を感じられたことでした。

と41分長くなっており、ほんの少しだけ実写版のオリジナルのシーンもありましたが、できるだけ原作を忠実に再現していました。

原作に比べてこの41分に「漫画を描いたり、藤野は家族と話したり、京本と二人で街を出かけたりひたすら作品を作りながら季節が変わる」という部分にかなり重きを置いていたような気がします。

そのため、実写版の場合京本を失ったことよりも、そこにいた人が突然いなくなったことが強く残った感じ。といえばめちゃくちゃ伝わりやすいかもしれません。

実写版で特に良かったところ

①漫画を描く「音」がめちゃくちゃ良い

実写版でかなり好きだったのが「音」です。

映画の中で何度も漫画を描く場面が出てきますが、これらが本当にリアルなのが実写版の好きなところです。

クリエイターの大変さがさらに顕著に表れる

漫画は完成したページだけを読むなら数秒ですが、その1ページを完成させるまでには何時間もかかるクリエイターの大変さがよりリアルに伝わりました。まじで大変な職業。

特に背景を描くシーンがあるのですが、たった数秒で読み飛ばす私たちに対し、一体どれくらい時間をかけているのだろうとしみじみ感じました。

実写版では二人の手元を長く映すので、その当たり前のことを思い出します。

2024年にアニメ版を観たとき、筆者は感想をうまく整理できなくて箇条書きにしました。

2年経った今でもこの感想は変わっておらず、今回の実写版ではペンの音や手の動きまで見えるので、「描いて描いて描き続けた」という部分がさらに分かりやすくなっていました。

子役から出口夏希・蒔田彩珠に変わる瞬間が自然すぎるワロタ

多くのレビュアーが書いている通り、キャストもかなり良かったです。藤野を出口夏希さん、京本を蒔田彩珠さんが演じ、子ども時代は七瀬ふうりさんと岡田六花さんが演じています。

特に印象に残ったのが、子役から出口夏希さんと蒔田彩珠さんへ切り替わる場面です。

「数年後」とテロップを出したり、卒業式を境に俳優を変えたりするのではなく、二人が漫画を描いている途中でいつの間にか姿が変わっています。

この見せ方が「ルックバック」にすごく合っていて、二人にとって重要なのは学年や年齢が変わったことではなく、ずっと漫画を描き続けてきたことです。

描いて、また描いて、その時間を積み重ねているうちに気づけば大人になっており、俳優の交代そのものを時間の経過として見せた演出が個人的にかなり好きでした。

秋田にかほ市の風景まで「二人の作品」に見えてくるくらい絶景

雪景色や桜、田園風景、海なども何度も映り、ずっとこの世界観に触れていきたいと思えるくらい絶景が映し出されます。

もう早速「秋田県にかほ市」の公式サイトが聖地巡礼についてパンフレットをまとめてて草。(参照元)

藤野と京本が漫画に描いているものは、自分たちの生活から完全に切り離されたものではなく、住んでいた場所、見た景色、人と過ごした時間など全てが作品に入っているように感じました。

ガチで世界観がすごくて、日本ってこんなに美しい地域があったのだと感動。

最後のアニメーションが鳥肌

終盤では「ロトスコープ」を使ったアニメーションが入ります。
※「ロトスコープ」=実際に撮影した実写の映像を1コマずつトレースしてアニメーションを制作する技法のこと。らしい。

実写映画を観ていたのに、途中から藤野と京本が絵の中で動き始め、最初はかなり不思議な映像でしたが、映画を最後まで観ると、この場面が一番「実写版を作った理由」に近い気もします。

藤野と京本が現実で見たものが漫画になり、今度はその漫画の中で二人自身が動き、京本本人はいなくなっても絵は残っています。そして藤野が描いた漫画も残っています。

極端な話、「ピカソ」や「フェルメール」など人がいなくなっても、その人が作ったものは残るというのはクリエイターならではの醍醐味かもしれません。

実写で存在していた二人が最後に絵へ戻っていく映像を見ながらそんなことを考えていました。

実写版とアニメ版はどっちが良い?

自分はアニメ版の方が好きです。58分の中で出会いからラストまで一気に進むテンポが本当に良いからです。そのため時間がないあなたにもまずはアニメ版から入り、実写版を見たほうが振り落とされずに済みそうな気がします。

一方で、すでにアニメ版を観ている人には実写版も観てほしいのと、アニメ版と実写版が掛け合わさって初めて1つの作品になるような気もしました。

比較 実写版 アニメ版
上映時間 99分 58分
テンポ ゆっくり かなり速い
二人の日常 時間をかけて描く 必要な場面に絞る
漫画制作 ペンや紙の音、手元まで見せる 作画と音楽で勢いを出す
藤野の創作への執着 少し穏やかに感じた かなり強く感じる
二人が過ごした年月 強く感じる テンポよく進む
自分の好み ○ ◎

ストーリーは同じだけど、全く違う映画であり、それぞれ見ごたえ抜群。

【ネタバレ】ラストをどう考えたか

さて、ここからネタバレです。

アニメ版もそうですが、「ルックバック」のラストで一番印象に残ったのは、藤野が「京本を誘わなければよかった」と後悔しながらも、最後にはまた漫画を描き始めることでした。

自分は、藤野が京本との出会いそのものを後悔したわけではないと思っています。

たしかに藤野と出会わなければ、京本は別の人生を歩んでいたかもしれないし死ななかったかも

しかし、そのアナザーストーリーの道に歩むと二人で漫画を描いた時間も、「藤野キョウ」として作品を作ったこともありません。

だから終盤に描かれる「京本が助かる世界」も、正解の世界というより、藤野の「どうにか京本を助けたかった」という願いに見えました。

その世界では京本は生きているけど、二人が一緒に漫画を描いた時間は存在しません。

ここが『ルックバック』のラストで一番残酷でつらいところだと思います。

京本を誘わなければ死ななかったかもしれない。でも、出会わなければあの時間もなかったので、どちらかを正解にすることはできないのがこの作品の1番辛いところです。

京本の部屋に残っていたものが実写版もえぐい

実写版で良かったのは、この後悔をセリフで説明しすぎなかったことです。

京本の部屋には絵や漫画が残っていて、小学生の頃に藤野が着物(綿入れ?)に書いたサインもそのまま残っています。

藤野にとっては何気なく書いたものでも、京本にとってはずっと大切なものであり、藤野が京本に与えたものは「外へ連れ出したこと」だけではなかったことが分かります。

一緒に漫画を描いた時間も、京本にとって間違いなく大切な時間だったはずです。

だから藤野は最後にまた描く

原作と同じく、最後に藤野はもう一度机に向かいます。

自分はここが『ルックバック』の答えだと思いました。京本を失ったことも、「あのとき違う選択をしていれば」という後悔も消えず、それでも二人で過ごした時間まで否定せず、藤野は漫画を描き続けます。

「悲しみを乗り越えた」というより、後悔を抱えたまま描いていくという終わり方に見え、嫌なことがあろうと前に突き進んでいく藤野の姿勢に拍手を送りたいです。

まとめ

観る前は「完成度の高いアニメ版があるのに、実写化する意味はあるのか」と思っていましたが、観終わった今は、実写版も作られた意味はあったと思っています。

アニメ版の方が個人的に好きですが、実写版を観たことで『ルックバック』のラストについて以前より考えるようになりました。

京本を誘ったことを後悔しても、京本と出会ったことまで後悔する必要はない。最後にまた漫画を描き始める藤野を見て、自分はそう受け取りました。

アニメ版を観たときの感想はこちらでも書いていますので是非こちらもご参考ください!

【泣ける】ルックバックを見た感想【全クリエイターは見るべき作品】

created by Rinker
¥484 (2026/10/05 10:21:58時点 Amazon調べ-詳細)
LOGIC, MINIMALISM, AND YOUR RHYTHM.

メディアをユーザーと共に作る。

Nagi Rhythmは、SEOを完全に度外視した読者と交流ができるウェブメディアを目指しています。
この記事への感想、または個人的なご相談など、どんな「熱」のあるお便りも歓迎します。