こんにちは。Nagiです。
当サイト(Nagi Rhythm)は現在毎日1000日以上更新を続けており、過去に様々な小説レビューについてご紹介をさせていただきました。
僕は現在月1冊ペースで小説を読んでおり、本日は朝井リョウさんが描かれた「正欲」を読んだ感想をご紹介させていただきます。
まず結論からお伝えすると「性欲の多様性」について描かれたかなりディープな作品です。
今回の記事では下記の3点についてピックアップをさせていただきました。
- なかなか触れづらいディープな内容
- 全員が主人公のため、振り落とされそうになる
- 登場人物全員を自分に置き換えて考えてみた
ここから先はネタバレ注意です。
それでは解説をしていきます。
なかなか触れづらいディープな内容
- 水に対して性欲を抱く人
- 涙を浮かべている人に性欲を抱く人
- 小さな子供に対して性欲を抱く人
「99%の人が理解し難いフェチ」というものを、1つ1つ丁寧に繊細に描かれており、読んだ僕からすると全く理解ができませんでした。
しかしながら「誰にも言えないような悩みレベルの性癖がある」という方は本書がめちゃくちゃ刺さる内容だと思いました。
「無敵の人」扱いされる世の中かもしれませんが、少しでも手を取り合ってくれるような内容になっていると思います。
そもそも性欲についてなぜ話しづらいの?
性欲と聞くと、三大欲求の中でも最も後ろめたいものであり、飲みの場でしかなかなか話しづらいものだったりしますよね。
しかしながらお酒が入るとどの人も恋愛だったり性のことばかり。これは男女関係なく誰しもがそうでしょう。
自分の中でなぜ「睡眠欲と食欲よりも性欲だけが話しづらい内容なのか」と考えましたが、きっと社会の動きや変化、タブー視されがちのものばかりだろうと結論がつきました。
三大欲求系の仕事につくことは食いっぱぐれることがない
寝具メーカーに勤めている主人公夏月もいましたが、あれはかなり合理的だと思いました。
全人類が「寝具」というものを絶対に買わなければいけないため、絶対に潰れることはありません。若い間は大丈夫でも睡眠にお金をかけなければそのうちガタがきます。
人は寝なければ死ぬし食事も同じくご飯を食べなければ死ぬ
性に関しても死ぬことはありませんが、ストレス解消のためにも大金を払って男女関係なく風俗に行ったりしますよね。
そのため三大欲求系に関する仕事は今後もなかなか食いっぱぐれないのではないかと思いました。
全員が主人公のため、振り落とされそうになる
ストーリー構成がなかなか複雑で、各セクションごとに主人公が切り替わります。
様々な視点において各々が「性」に対することを打ち明けていくシステムになっており、物語がそのままストレートに進んでいくわけではないので振り落とされる可能性があります。
- 「あれ?この人誰だっけ・・・?」
- 「この人はどんな性格で、どんな性癖だっけ・・・?」
といったことになりかねないので、ずっと読むのがしんどいかもしれませんができるだけ一気読みすることをおすすめします。
登場人物全員を自分に置き換えて考えてみた
そもそもですが、なぜ人同士磁石のように惹かれ合うのだろうと考えました。
僕の場合は、これも異常なのかもしれませんが全く持って女性に対してエロい目で見ることがありません。
本物語には下記のような人がでてきます。
- 異常性癖の人同士で集まったサークル的なもの
- 契約的なものを交わす登場人物
「多様性」という言葉で片付けられたらいいのですが、本当に世の中色々な人がいるなと考えさせられました。
もし仮に自分がマイノリティ側だったとすると・・・?
結論、めちゃくちゃ生きづらい世の中だっただろうと思わされます。
近ごろ声高に叫ばれている「多様性」とか「マイノリティ」という言葉ですが、その苦しみを描いた作品となっていて「自分はそっち側じゃなくてよかった」と安心する一方で「もし自分がそっち側だったとしたら・・・?」と色々考えさせられてしまう本でした。
結局、普通の人なんていない
逆に僕自身も全く何も興味がないのも異常なのかもしれません。
1mmも「救いがない内容の連続」で、多様性を受け入れようという風潮の社会にガツンと一発入れるようなまさに問題作だったと思います。
正しい欲とは?普通の欲とは? 誰も他者のことは想像し切れないことを理解して今後も生きていきたいですね。
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